予防について
お口の健康づくりを通して
「健康寿命」を延ばすために
日本の平均寿命は年々伸びていますが、実際には寝たきりの方や認知症など、介護が必要な方が増えています。
そこで最近、注目を集めているのが、「健康寿命」という考え方です。
健康寿命とは、他の人の支援や介護の必要がなく、自立して過ごすことができる期間のことです。
この期間をできるだけ長く保つことが、生活の質を保つことにもつながります。
私たちは、生きるエネルギー源をお口から食事で摂取しています。
よく噛むことで脳にも刺激が与えられ、またすり潰された食べ物と唾液がよく混ぜ合わされることで、消化吸収機能も高まります。そして何よりも、食べる楽しみがもたらされます。
つまり、「自分の歯でしっかり噛める」というお口の健康は、心も含めた全身の健康状態に密接に関わっているのです。
そこで当院では、歯の治療だけではなく、治療後の「予防・クリーニング」を通して、皆さんのお口の健康づくりをサポートするよう心がけています。
皆さんが生涯元気で明るく暮らしていけるように、大切な歯とお口を守るお手伝いをいたします。
歯を失う原因とは?
- 歯垢(プラーク)、歯石とは
-
歯垢(プラーク)は、細菌が糖分を取り込んで増殖していく、細菌の住みかです。 なんと、歯垢(プラーク)1mgあたりに、10億個もの細菌が潜んでいると言われています。 また歯石とは、歯垢(プラーク)に歯から溶け出したカルシウムやリンとプラークが沈着してカチカチに硬くなったもので、生きている細菌が多く潜んでいます。つまり歯石があるということは、目には見えなくても大量のプラークがお口の中にいる証拠であり、そのままにしておくと歯周病の発症・悪化の原因となるのです。
歯を失うとどうなるの?
食事や会話がしづらくなるだけでなく、認知症のリスクも高まるなど、
全身の健康に大きな影響を与えます。
食事・会話
食事や発音がしにくくなります。入れ歯を入れても自分の歯のように噛めないので噛む力は弱まり、発音が不明瞭になることもあります。
認知症
噛むことは脳の刺激となります。歯と歯槽骨の間にある「歯根膜」を通して食べ物の味や硬さ、温度などが瞬時に伝わって感知できるため、脳を活性化すると考えられています。噛む回数や力が衰えると認知症のリスクが高まります。
医療費
歯が残っている人に比べると全身疾患にかかりやすく、医療費が平均で約2倍かかる傾向があります。
見た目
十分に噛めないと、顎の骨や筋肉が衰えていきます。顔全体のバランスが崩れて頬がこけ、老けた印象になっていきます。
口臭
入れ歯の掃除が不十分になると、口臭が起こりやすくなります。
歯は私たちの生活にあまりにも密着しているため、失ってから初めて、
その大切さに気づく方が多くいらっしゃいます。
歯を守ることは将来のご自身の生活を守ることに直結していますので、大切にケアしていきましょう。
- 詰め物・被せ物・入れ歯よりも天然の歯がいい理由
-
むし歯になったり歯を失っても、入れ歯や詰め物・被せ物などで補えば大丈夫だと思ってはいませんか?
歯科治療の発達とともに失った歯を補う治療方法は確かに増えましたが、どんなに優れた治療でも補うことしかできず、生まれ持った自分の歯にはかないません。
たとえば保険診療で製作する入れ歯は、天然の歯に比べて噛む力が1/3しかありません。また、グラつく、しゃべりづらい、口臭が気になるなどのお悩みから、人とあまり話さなくなる方もいらっしゃいます。 詰め物・被せ物も、予防ケアが不足するとむし歯が再発する原因となり、治療を繰り返すたびに歯は削られて弱くなり、歯を失う原因となってしまいます。
食事や会話を楽しめる明るい人生を送るためには、生まれ持った歯を大切に、長く使い続けていくことが大切なのです。
大切な歯を守るために知っておきたいこと
- 1
-
基本は「毎日しっかりと歯磨き」
歯を守るためには、むし歯・歯周病を防ぐことが大切です。
「歯科医院への定期通院」の2つ
むし歯・歯周病になったことがなければ今のお口の状態を維持し、むし歯・歯周病になったことがあれば、再発を防ぐために予防に取り組んでいきましょう。
毎日食後には歯をしっかりと磨き、定期的に歯科医院で検診とクリーニングを受けることで、むし歯と歯周病のリスクを抑えることができます。
- 2
-
歯科医院への定期通院の重要性
歯科医院で定期的に検診を行うことで、万が一むし歯・歯周病になっても、早期発見することができます。 ごく初期のむし歯ならば、削らずに治療が済みます。また発見が早ければ早いほど、歯を削る量は抑えることができます。 歯周病も初期段階で治療に取り組むことで、軽い治療や予防ケアで済むのです。 歯科先進国であるアメリカやスウェーデンでは、定期検診が常識となっています。そのため、これらの国では80歳になっても日本よりも平均で5本以上多くの歯が残っているのです。
- 3
-
ごく初期のむし歯は削らず治療できます
むし歯はむし歯菌が歯を溶かしていく病気です。進行すると歯が溶けて穴が開きますが、早い段階であれば、歯の表面から失われたカルシウムやリンを取り戻す「再石灰化」を促すだけで進行を防ぐことができます。
再石灰化は、毎日適切な歯磨きを行うとともに食習慣を見直して改善し、歯科医院で歯の表面にフッ素を塗ってもらうのも効果的です。
定期的に通院することで、むし歯や歯周病に早めに気づき、進行を食い止められるのです。
- 4
-
歯垢、歯石をプロの手で除去
毎日歯をしっかりと磨いていても、歯垢は少しずつ溜まっていきます。どんなに歯磨きが上手な人でも歯垢を完全に落とし切ることは難しく、歯垢はやがて歯石となり、むし歯や歯周病のリスクを高めます。
歯科医院ならば、予防のプロフェッショナルである歯科衛生士によって、専用の器具を使った歯のクリーニングを受けることができます。歯磨きでは落とせない歯石や着色汚れもしっかりと除去でき、清潔で見た目もきれいな歯に整えることができるのです。
- 5
-
毎日欠かさず丁寧に歯磨きを
歯科医院でのクリーニングは数カ月に1度のため、毎日の歯磨きを怠っていると、あっという間に歯垢や歯石が溜まってしまいます。 毎日歯ブラシやデンタルフロスなどを使って、歯垢や歯石をしっかり落とすように意識することで、お口の中の細菌は減らすことができます。 当院では、患者さんのお口に合う歯の磨き方を指導しています。実際に歯ブラシや歯間ブラシを使っていただき、コツをわかりやすくお伝えするため、歯磨きがグンと上達してお帰りいただけます。まだブラッシング指導を受けたことがないという方は、生涯自分の歯を守っていくために、私たちと一緒にがんばっていきましょう。
年齢や身体に合った予防ケア
妊娠中
0~1歳(歯の生えはじめ)
2~3歳
就学時前から小学生
- 予防ケアについて
-
● フッ素とは?
フッ素は、溶け出したカルシウムイオンやリン酸イオンを歯に戻す「再石灰化」を促進して歯の質を強くします。歯科医院での定期的なフッ素塗布がおすすめです。
● シーラントでむし歯予防
奥歯の噛む部分には、複雑な溝が存在していて、食べかすや歯垢などがたまりやすくなっています。これをレジンなどの材料で埋めるのがシーラントです。歯の表面が滑らかになり、むし歯予防に非常に効果的です。